トップ > 善玉菌のQ&A > 善玉菌は風邪やインフルエンザの予防になるの？
免疫細胞の活性化とインフルエンザの予防
乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌の摂取は、カラダの抵抗力、いわゆる「免疫力」のアップに効果的です。そして免疫力を上げることは、風邪やインフルエンザの予防につながります。
善玉菌を摂取することで、なぜ免疫力が向上するのかということについては「免疫力がアップするのはなぜ？」でも説明していますので、ここでは免疫細胞が活性化する科学的なしくみと、実際の研究データを紹介します。
免疫細胞の活性化
人間のカラダには、いたるところに免疫細胞が存在しています。
「自然免疫」系で、常に体内を巡回して外敵をやっつけたり、ガン細胞をやっつけたりするナチュラル・キラー細胞（NK細胞）や好中球、マクロファージなど。「獲得免疫」系の、樹状細胞や抗体（免疫グロブリン）など。
食べ物など、多くのアレルゲン（抗原）や病原菌、ウイルスなどが訪れる腸には、特に厳重な警備態勢がしかれており、全身の50〜70％の免疫細胞が集まっていると考えられています。
そして、腸にある細胞のうち、いちばん最初に外敵に触れるのが、腸の上皮細胞（吸収細胞）です。
この上皮細胞には、ビフィズス菌などの成分と結合する受容体があり、その受容体が善玉菌の菌体成分と結合することで、免疫細胞が刺激を受けて活性化します。この受容体を「トル様受容体」といいます。
トル様受容体と善玉菌の結合
トル様受容体は、英語で言えば「Toll-like receptor」となり、TLRと略されます。
トル様受容体という言葉には専門的なひびきがあり、なんとなく拒否反応を起こしてしまいそうになりますが、このタンパク質は免疫系において非常に重要な役割を担っています。
人間（ヒト）には10種類のTLRがあります。それぞれ構造が異なっており、認識する（結合する）分子も別になります。
まだすべての受容体について詳しくわかっているわけではありませんが、腸内細菌に関係するトル様受容体は、TLR2やTLR4などです。
TLR2は、善玉菌であるビフィドバクテリウム属やラクトバチルス属の成分であるリポペプチド、リポタイコ酸などと結合。TLR4は、日和見菌のバクテロイデスの成分であるリポ多糖（リポポリサッカライド）などと結合します。
これらの結合が起きることで、免疫細胞が刺激を受けて作動するというのが、免疫細胞の活性化の仕組みです。
トル様受容体と善玉菌の結合には、あくまで善玉菌の成分が関係しています。そのため、菌自体が死滅していてもそれが腸に届けば、菌体成分とトル様受容体がくっついて免疫力はアップします。
乳酸や酢酸などの有機酸の産生作用は、ビフィズス菌などが生きたまま腸まで届かないと期待できない効果ですが、免疫力の向上については、死菌にも期待できるのです。
善玉菌による研究のデータ
ビフィズス菌や乳酸菌などを継続的に摂取することで、免疫力がアップするということは、いくつもの研究で証明されています。
たとえば、「ビフィズス菌ロンガム種」（BB536株）を、65歳以上の高齢者に19週間、連続して摂ってもらうという試験では、期間中のインフルエンザ発症や発熱の回数が少なくなるという結果が得られました。
また、自然免疫系のナチュラル・キラー細胞（NK細胞）や好中球などによる、病原菌などを殺菌するチカラが高まるというデータも出ています。
「R-1乳酸菌」（ラクトバチルス属ブルガリクス種OLL1073R-1株）をつかった試験では、継続摂取によって、加齢によって低下するT細胞増殖能が上がったり、NK細胞の活性が上がったりするという結果が出ています。
これらによって、風邪にかかるリスクが低減されたことも確認されています。
参考 : 乳酸菌1073R-1株試験結果(1) | 明治ヨーグルトライブラリー
「プラズマ乳酸菌」（ラクトコッカス属ラクティス種JCM5805株）をつかった試験では、獲得免疫系の要であるプラズマサイトイド樹状細胞（pDC）の活性化によって、「のどの痛み」「せき」などの自覚症状が低減したことが確認されています。
参考 : かぜ症候群・インフルエンザ様症状が軽減！ | プラズマ乳酸菌研究レポート
このように、善玉菌を続けて摂ることで免疫系が活性化して、風邪やインフルエンザの罹患リスクが下がったり、症状が緩和されたりするという研究データがいくつも出ています。
上記のビフィズス菌や乳酸菌については、それぞれヨーグルトや乳酸菌飲料として商品化されているものが多いので、ぜひ日々の食卓に置いて、免疫力の向上を目指しましょう。
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