トップ > 腸内環境と便秘 > ウンチの成分と完成までの流れ

ウンチのセルフチェックは大事

わたしたちが腸内環境を知るもっともカンタンな手段は、自分のウンチを見ることです。

「ウンチを見るなんて汚いし、臭いからイヤだ」と思うかもしれません。わたし自身もそのように思っていましたが、身内や知人の便秘や大腸に関する病気の話などを聞いて、毎日セルフチェックをおこなうようになりました。

セルフチェックには、便の色、形、臭い、硬さ(水分量)のほか、お腹の張り具合、ガスの臭いなどを判断するというものが含まれますが、ここではその自己診断を下すにあたって必要なウンチの基礎知識を説明します。

ウンチができるまでの流れ

わたしたちは食べ物から栄養とエネルギーを摂取します。しかし、その中には不要な成分や水分なども含まれており、それらは長い消化管をとおったのち、ウンチになって排泄されます。

口から食道を通り、胃、小腸、大腸、肛門とつながっている消化管の全長はおよそ9メートル。人間の身長の何倍もあるので驚くかもしれませんが、体内でうねうねと折り曲がっておさまっています。

その長い道程を、食べ物は長い時間かけて分解、吸収されていきます。食べ物の材料や量、そして人それぞれである腸の長さなどによって違いがありますが、だいたい15時間から70時間ほどで排出されます。

日数にすると、半日ちょっとから3日ほど。ずいぶん長い時間がかかります。便秘の場合は実感しにくいかもしれませんが、基本的には遅くても、3日はど前に食べたものが今日のウンチになっているのです。

どのように食べ物が便になるのでしょうか。まず、口内でかみ砕かれたり唾液によって溶かされたりした食べ物は、食道をとおって胃に入ります。胃では強酸でさらに溶かされて、粥状になります。

その後、小腸ではほとんどの成分が分解されて、吸収されます。学校の授業で習ったかもしれませんが、小腸はとても長く、全長約6メートル。粘膜はひだひだになっていて、表面積はテニスコート一面分にもなります。

そこで効率よく栄養と水分が吸収されて、残りの食べ物カスは大腸へと入っていきます。

大腸に至る前にほとんどの成分は吸収されているので、大腸に届くものは不要なものや残りの水分、食物繊維などの消化できなかったものが主となります。

大腸は小腸の4分の1ほど、だいたい1.5メートルほどの長さしかありませんが、ゆっくりじっくり食べ物カスの水分が吸収されるので、早くて10時間、長い場合には60時間ほども食べ物カスの滞在時間があります。

大腸の動きが悪いと、水分がうまく吸収されないまま下痢便が出てしまったり、反対に時間がかかり過ぎて水分があまりなくなり、カチカチ便になってしまったりします。

ほどよく水分が吸収されて、大腸に入ったころにはほとんど水のような状態だった食べ物カスは固形状になり、大便として排出されるのです。

ウンチの成分

ウンチは上記のような過程を経て、長い時間をかけて作られます。それでは、そのウンチの成分はどのように構成されているのでしょうか。

便のおもな成分は、水です。70〜80%ほどが水分であり、この割合が高いと下痢になり、低いと硬い便になります。

水以外の20〜30%の成分には「食べ物の残りカス」「はがれ落ちた大腸の粘膜」「腸内細菌」などがあります。

食べ物の残りカスというのは、栄養として吸収しきれなかったもの、具体的には食物繊維などの人間の酵素で分解できないものがメインです。食物繊維はウンチの材料になります。

はがれ落ちた大腸の粘膜というのは、そのままの意味です。はがれ落ちるというとイヤな印象を受けるかもしれませんが、新陳代謝によるものなので、むしろはがれ落ちることが正常と言えます。

あとは、ご存知の腸内細菌です。善玉菌・悪玉菌・日和見菌などの細菌が、ウンチに混ざって排出されます。

ヨーグルトなどで口から取り入れた乳酸菌やビフィズス菌は定着しにくいと言われていますが、それはこのように排便時に一緒に出て行ってしまうためです。もちろん何割かは残って増殖して、新たな腸内フローラを形成します。

トイレを流す前にウンチを見る癖をつける

多い人だと毎日、便秘がちの人でも1週間に一度は排便する機会があると思います。もしそうでない場合は、すぐに便秘外来や消化器内科などを受診してください。

その排便の際に、必ずウンチを見る癖をつけましょう。

ウンチの形や色、臭いなどには、腸内環境を知るための情報がたくさん詰まっています。もちろん臭いので、必要最低限の情報収集が終わったらすぐに流すべきですが、まったく見もしないで流すのはオススメしません。

ウンチを観察することで、自分の大腸などの状態を間接的に知ることができます。腸内フローラのバランスが悪いだけならかわいい話ですが、何か大きな病気にかかっている場合はすぐに対処する必要があります。

もちろん自己診断でわかる病気は限られるかもしれませんし、自覚症状がない病気もあります。しかし、少しでもヒントを得られるチャンスがあるなら、数秒くらいの時間は毎日つかってもよいのではないかと思います。

腸内環境の状態や病気の有無、自分の健康状態を知るためにも、大便をしたときにはすぐに水に流さず、その状態をチェックするようにしましょう。

具体的な色や形、臭いのチェック方法については別の記事で説明します。

「腸内環境と便秘」記事一覧

このページのトップへ

トップページ